ムサシノ模型飛行機研究所「スカイ・ライト号」復活版

フラップ・スカイライト
I (Love) You 号  フライト・インプレッション・・・
2000年 9月2日

クラス:15〜20 低翼万能機
エンジン:現存!エンヤ19W
機体:
オリジナルの「スカイ・ライト号」図面のままに復製。
かつて東京湾を雄飛した在りし日のままに、オーナー(生駒氏)の希望どおりに再現。
カラーリングはドープをあきらめ、モノコート仕上げながら、氏の好みにあわせ「オモチャっぽい」色使いにこだわった。
彼がいたく気に入っていた小生作のバンコク1号は、シーラチャ・ムサシノ飛行会当日、久々のフライトでちょっとしたミスで墜落、大破してしまった。

当日のムサシノ機の飛行を横目で眺め、思いでのスカイライト再生を決意。氏の熱い希望と、神氏の力作「スカイビーバー」に負けじと、小生 気を入れた製作となった。
かつて彼はフラップとジャイロを搭載して飛行しており、今回もフラップ装備とあいなった。

エンジンはなんと今まで保存されてきたENYA19Wがベストマッチングと考え、オーバーホール再調整して復活。

脚は大事に保存されていた当時のオリジナルを使用。 お気に入りだった取付けゴム止めはフラップとの兼ね合いで廃止し、胴体下にビス止めに変更。
主翼はフラップを胴体に近づけるため、ゴム止めでなくダウェルとナイロンビス止めに変更。

尾輪は離着陸のタキシングのためラダー連動に設定。


8月27日 初飛行(ドンムアンにて)

ENYA19回らず。歳には勝てない?ぺラを替え、プラグを替え、何度も調整したがピークがでない。 ハーフスロットル程度のパワーでかろうじて離陸。よたよたと場周して緊急着陸。 なんとも情けない初飛行となってしまった。
しかし、低速で飛行中、ちょっとフラップを下げたらその姿勢のままククッと浮き上がる。 どうやらフラップの出来はいいらしい。

これも保存版・手持ちの OS25FSRに換装、オーバーパワーは百も承知、だがフラップ装備で若干重目だし、機体サイズからいったら25クラスの大きさだから・・・と決行。


9月2日 改装初飛行(シーラチャにて)

実にタチのいいエンジンで、スターターが触れただけでスロースタート。スローの安定もいいしもちろんブン回る。
同型機は充分飛ばし込んでいたから、何の不安も無く離陸。
案の定、スロットルを開け始めただけですでに機体は浮き上がっている。これならタキシのお祭り?(パワーでふられてクルクル曲がる)の心配など無用。誰だって何もしないで簡単に離陸できる。
数回場周の後、軽いアクロをトライ。ハーフスロットルのままでロールもループも自由自在。 少しふかせば垂直上昇、背面だって下がってこない。ベテラン神 氏の操縦ではありとあらゆる曲技を難なくこなす。クラークYの翼型でこんな飛行ができるなんて!
ここでいよいよフラップのテスト。(好き勝手な使い方をしたくて、あえてミキシングなしでダイアル手動でセットした。)
ハーフスロットルのまま少し下げる(15°程度)と、ぐっと機首をあげて上昇、このままでは宙返り?とエレベーターをダウン、ゆったり安定した水平飛行。
こんどは最スローに絞ると同時にフラップをフルダウン(約45°)、ピッチングなし、水平姿勢のまま風に向かってほとんど停止状態になる。(当日はちょっと風が強かった)エンコンかエレベーターの操作だけで高度変更可能、少しスロットルを開けば(15%程度)そのまま超低速で自由に旋回できる。風に向かってエレベーターを引くと、まさに凧、ふわりふわりと空中を漂っている。
着陸コースに進入してから、フラップ全下げ、スロットルの加減だけでまるで歩いてくるようにゆっくり、そして高度もジワリジワリと降下。着陸滑走ほとんど無し、まるでパラシュートのようにストンとランディング。

かつてこんな楽しい飛行はしたことがなかった。私の操縦テクが上がったのかと錯覚するくらい なんの不安も無く、じつにイージーなコントロールで 飛行=飛ばす楽しみ を満喫できた。
この機体のバランスの良さ、素質のレベルの高さを発揮、まさに「万能機」の見本。ムサシノの機体全般にいえることだが、模型飛行機の原点とは何かをあらためて再認識させられた。

またまた我田引水だが、フラップの作りがよかったと自負している。只のエアブレーキで終わらず、フラップ本来の機能を発揮できたのは、ヒンジ軸線を翼の上面すれすれにとり、翼上面を隙間なく、フラットでスムースに仕上げたからだろう。こんどは是非ともファウラー・フラップに挑戦してみたい。スケール機にこんな効果が加味されたら・・・腕に自信の無かった着陸が今や楽しみの一つとなった。

ベテラン 神 氏 による フライトインプレッション

@エンジン
OS-MAX25FSR自体は確かにパワーのあるエンジンですが、2日の飛行では 全開にしてもエンジンに振り回されるような、いわゆる「オーバーパワー」 の状態は感じられませんでした。
むしろ、「パワーに余裕があり、安心して飛ばすことができる。」という のが第一印象です。風が強かったというのも一因だと思いますが。
スカイライト号の懐の深さをあらためて思い知らされた気がします。

=TT25をつんだ同型機を飛ばし込んだ感じでは、確かに微風ではカッ飛びます。 しかし機体のサイズから云って万能プレーを楽しむならオーバーパワーの25でもむしろ利用価値があると思います。

A上空飛行
フラップを下げての上空飛行は、速度を落としすぎると怖い感じがしました。 風に向かう時はいいのですが、追い風ではエルロンが効かないのです。 プロペラ後流のなかにエルロンが無いからでしょう。
この件に関しては、ムサシノHPの「ムサシノ通信−スバル09号」の記事 で読んでいたので、ある程度予測していました。 そのため、場周飛行から着陸まではエルロンとラダーの両方を使ってました。 これはムサシノの記事にもあるようにミキシングをかけた方がいいと思います。

=エルロン舵角を少な目にセットしたので(デュアルレート小)、スティックワークをちょっと大きくうてば、初心者並みの小生でもエルロン+エレベーターだけで旋回できました。癖はなく非常に楽でした。

B離着陸
フラップを下げてフルパワーでのカタパルト発進。=初めて試みたのでとても楽しかった。
ほとんど滑走しない着陸など、強風に翻弄されないSTOL性能には驚きました。
これは低翼機であることが大きな要因でしょう。高翼機だと風に煽られて 大変だったと思います。今度風の無い時に、またやってみたいと思います。


C操作性
ボリウムつまみでの操作は、左スティックから指を放さなければいけない ので、初心者には大変では?と思います。 エンコンとミキシングさせてはどうでしょうか?
=通常飛行では確かに楽だと思います。
しかし 中スロットル=半下げ では頭上げになりダウントリムしないと水平飛行ができません。
フルダウンで全開発進とか、ホバリング状態で微妙なアップダウンなど、勝手気ままなお遊びをするのには やはりマニュアル操作の方が楽しいと思いました。


低速、安定、サイレントのムサシノ飛行機を、こんな無茶苦茶な飛ばし方するのは邪道?
でも、こんなプレーができるのも タイの広大な大地と恵まれた環境?ならでは。

しかし、スカイライト号の素質の高さにはまったく驚きです。
ミキシングを掛けてみたり、微風で飛ばしたり、これからもとことん付き合っていきたい。
優れたものは当初の目的とはまったく違った隠された特性を兼ね備えるもの、
ダットサン、ミニのラリー制覇、零戦が二式水戦に、PCがインターネットに・・・

愛機スカイライトは、まだまだ秘められた特性を発揮してくれることでしょう。

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