陸軍 97式 戦闘機 「キ27 甲」

(製作者) : Phirung こと 小生
(機種、クラス エンジン)
オリジナル・デザイン
1/8.5 スタンドオフスケール
「キ 27 陸軍97式戦闘機 甲」、
OS 32F (2st)
(プロポ) : フタバ 6チャン

タイには一番関係が深い97戦は、いつかは作りたい機体であった。 そんな思い入れがあって、くどくなるが宜しくお付き合いのほどを。

地元ホビー誌取材飛行で思わぬノーコン・アクシデント、シーラチャーで墜落。
←前作96艦戦同様 またもやエンジン換装・外観もリアルサイズにリファイン!

この機体の塗装は太平洋戦争前、中国にいた64戦隊がノモンハンに転出後、同部隊から抽出された人員で編成された、独立飛行第84中隊のマーキングで、同部隊はハノイ駐屯後フィリピン、スマトラと転戦、タイ国とは関係はない。
同部隊が初期型の「甲」を装備していたかどうかは定かではないが、時期的におそらく「乙」だったと思う。
また、かってに書いてしまった機番20は実在し、20号機は実際はストライプは赤。紺色のストライプは8号、83号他。(もう少ししっかり資料を調べてから仕上げるべきだった。もっとも完成後に新しい資料をいただいたのだからしかたないが・・・)

ともあれ一番97戦らしく感じるデザインで、当時負けを知らぬ世界最高の軽戦闘機そのもののハデさが実にイイ。
しかし、開戦後緒戦のマレー上陸作戦、蘭印パレンバン空挺作戦に活躍の後、ビルマ作戦にともないタイに進駐した59戦隊、64戦隊のわずかな新鋭隼戦闘機をささえ、97戦はドンムアンやチェンマイ(ランパーン)に駐留した。
またタイ空軍もこの機を採用して、象の国籍マークをつけ、 2式高練や、いまもドンムアン空軍博物館に実機がほぞんされている98直協などととともに、 訓練に励んだのである。
タイ空軍パイロットにより北のランプーンでP51を撃墜したこともあるそうだ。 (もっとも返り討ちで全機撃墜されてしまったそうだが)


この角度から見る97戦は実にいい。
しかし、カウルの材料のアルミのお椀(隼でご紹介済み)のサイズから、あの頭でっかちの97戦特有のイメージが薄れてしまったのが、心残りで残念だ。本来16cmのところ14cmではまるで2式高練みたいになってしまった。
また2Stをつかってもエンジン部分の長さはいかんともし難く、複列エンジンみたいにカウル部分が伸びてしまったのもくやしい。 もっとでかいスケールでつくれば、より正確なイメージの機体ができるだろう。いつかは再びより実機っぽい97戦に再挑戦するつもりだ。

パイロットは、前作の96艦戦から「のらくろ」が乗り換えた。本来猛犬連隊は日本陸軍のコピーであり、のらくろも乗るべき機に乗って満足と思う。しかし、「のらくろ」はパラソル翼の91式戦闘機のころの活躍で、97戦の頃には既に大尉で退官していたはずだ。探検隊を組織して大陸へわたったのは日華事変以前の設定になっている・・・
いかんいかん、また飛行機とは関係ない昔話に脱線してしまった。

ともあれ、こういった事情から制作にはかなり気を入れた。
あらゆる材料が揃う日本と違い、まだ十分知り尽くしていないこの地で調達できる範囲の物で仕上げるには、かなりの妥協をせざるを得ない。
将来、電話帳で調べて問い合せや買物が不自由なくできるくらいタイ人化したら、その時こそより完璧な97戦を仕上げるぞ!
制作にあたって
例によって胴枠はベニヤのボックスセクションで。
上部はバルサ胴枠と縦通材+プランク。
ラダーはフレーム下側から貫通させた尾輪軸をロッドでコントロール。
主翼前縁から防火壁までのわずか5cmの長さのおかげで、前後バランスはバッチリ。
側面はフラットなのでフィレットは必要ないが、スタイル上バルサ積層削り出し。
さて、問題のキャノピー。今回こそとエンビ板ヒートプレスに挑戦。してはみたものの、 材料をケチッて外枠を小さく作りすぎ何度も失敗。結局まともにできた前部のみ切り取り、 後部はバルサで・・・なんてこたあない、初期の甲型となってしまった。
そこでお遊びを一つ。 中央部をエンビ版曲げ加工で作り、アルミ薄板の枠で補強。ピアノ線レールにまるめ込んでスライドキャノピーと相成りました。
中島独特の前縁直線の主翼は、前作隼の経験を生かし3本スパーでさらに軽量化、エルロン部は下面プランク後に切り取りヒンジ部を加えて成形。
各動翼はモノコートのスカイグレーを貼り耐水ペーパーで表面処理して羽布貼りの雰囲気を。
脚は、スパッツの取付けをスマートにするために、強度的に不安があったがピアノ線を苦労してねじ曲げ。
薄いタイヤがないのでやむなく、98軽爆や99軍偵のように内側むき出しで。バルサ積層削り出しのスパッツ。
(一部それっぽい写真はPhotoshopのおあそび)
上側翼取付け部は着陸時の変形を逃がすため、前作96艦戦と同様スポンジを切り抜き成形した上にフィルム張りでごまかす。 そばで見るとしわくちゃでみっともないが、なあに飛んでりゃそれっぽく見えるから・・・せめて完成時だけでも。 新米の小生が自分で飛ばせばあっという間にボロボロになるだろうから覚悟の上で。
カバーリング仕上げで、おもいもよらぬトラブル!
陸軍機色はうすーい緑がかった明るいグレー。そんな色アメリカ生まれのモノコートにゃありゃしない。 (ドイツ機の下面色だって無いし、英国機のだって。あるのは現代ジェット機のスカイグレイだけ!) 結局、塗装もろくにできない素人スケールマニアには、シルバーしかない。
ところが、今回はどこもモノコートのシルバーが品切れ。丸1日走りまわって知ってる限りのバンコク中の店をまわったが・・・。
やむなく出張するRC仲間に頼み込んで日本からオラカバを持ち帰り。オラカバは初めて使うので何度も慎重にテスト。 コテで熱しすぎても色変わりしないし、貼りそこなってもきれいに剥がせてまた貼れるし、重ね貼りしても泡ができないし、いいことずくめ・・・
と思いきや、とんでもない落とし穴が待っていた。慎重に下地仕上げをしたのはいいが、最後のタルク入りラッカーがパテに染み込み、 高温で温められるやいっせいに泡ブクを吹きクレーター型にかたまってみるも無残なあばた胴体となってしまったのです。泣く泣く貴重なオラカバを剥ぎ取り、再度サンディング仕上げのやり直し。おっと擦りすぎでプランク部分の2ミリバルサがペラペラに、そこにズッポリ指先が・・・
ああ、何と完成前に切り取り継ぎ接ぎとなってしまった。段付きをパテで修正するのはコリゴリだし、サンディングすりゃペラペラに・・・完成を目前にして何たる不運。日が変わり気を取り直して再度修正、ヤットコサ完成を見たのでした。
「なれ」とは恐いもので、細部の貼りつけにモノコートをコテの熱で強引に引き伸ばしていたのが、オラカバはまったく変形せず。 つまんで引っ張る余裕代がないと・・・。逆ソリ面のフィレットはいつものモノコート同様低い温度で端っこから貼りつけていき、最後の仕上げの一こすりでナ・ナント、ピンとはって剥離。熱での収縮が強くそのわりに食いつきが弱い。フィレット貼りは地獄の3回戦となり結果は50%に満たない満足度。何でも経験が重要だと痛感したオラカバ貼りでした。
フライト・インプレッション
2000年7月9日 ついに進空。ドンムアンの名手ガイ氏により初飛行に成功。
予想外に尻重で、ふわっと煽られるように離陸。
実機とかなり違り、鼻の短い、しかも前縁直線の全身翼のRC機では、前縁から25%近い前の方に重心を持って来たほうがいいようだ。乾電池バラスト50g追加で、トリムダウン少々の修正後、2度目の正直?。
翼端が実機同様のテーパー比でごく薄翼となり、また上半角も実機同様7度と、RC飛行機の常識を外れた主翼で、 かなり不安があったが、2度目の飛行ですべての不安はきれいに吹っ飛んだ。

実機の設計がいかに素晴らしいものであったかをまざまざと体感、まさに究極の軽戦の名にふさわしい軽々とした飛行に 大満足。
上半角の効果絶大?ですわりがよく、横風があたっていても手放しでもきれいに直進。
かなりきつい上半角にもかかわらず、背面飛行もエレベーターに触れている程度でぐらつきなし。
低速での降下進入もまったく素直、まだ着陸が不安な小生でもタッチアンドゴーもどきに成功。
まるでかつてムサシノ模型の練習機を飛ばしていた頃のような安心感で、スケールでもトレーナー並みの飛ばしやすさを期待した小生の願いがかなった思いです。
模型飛行機でも軽量化がいかに大切なファクターかを思い知った今回の97戦でした。

懸案のスパッツは予想通り数度のラフ・ランディングでやはりボロボロに・・・
やむなく97式練習戦闘機同様車輪カバー部分をカット。 脚柱部分はゴム板を張りあわせサイドシルエットのみでうすーく成形、フィルム張りに変更。
低圧タイヤ仕様のようなかっこうになったが、それはそれでまた97戦っぽくていいか・・・なんて考えたら脚フォークの曲げ方が内外反対だった。・・・なんてこったい。

この機を完熟した頃には、再度究極の1式戦「隼」を作り直し・・・、
さらに大型でディーテールに凝った97戦を・・・と夢が膨らむ常夏のバンコクであります。

***アンテナ交換が原因?ノーコンで、あえなく3度の飛行のみで墜落。思い入れの愛機だけに再生もついつい凝ってしまった。***
カウルが大破クラッシュしたのをきっかけに、スケールサイズに拡大した新品と交換。第2胴枠から前をカット、再設計で使い込んだFS48Sサイドマウントに変更。エンジン長のせいでキャブレター部分を防火壁後方へもぐらせ、きめ込み細工みたいなマウント部分に四苦八苦して、やっとこさリアルスケールサイズで再生できた。
頭デッカチの97戦のイメージがバッチリ!
キャノピーは、実戦部隊同様 視界向上のため?スライド部分を撤去。
大直径カウルのおかげで、マフラーも標準のまま真下に向けて、大きく開口したキャブ部分は開閉ハッチで蓋をした。上から横からまさに97戦のシルエットがバッチリ!
初飛行でボロけたスパッツも、実戦部隊の雨季用低圧タイヤ仕様?で撤去。

上部脚柱カバーは、ゴム板サンドイッチにモノコート貼りで再生。意外とこれが抵抗もないし、着陸のショックでも翼をいためることもなく なかなか好都合。
4スト・サウンドと直径が大きいぺラ(11X6)で低速トルクもあり、飛行ぶりはますます実機感が向上。 飛行特性もほとんど変化なしで、まさしく究極の愛機がよみがえった。

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