工房日誌 製作ダイアリー
試製(習作) サヴォイアS21 フォルゴーレ  1/15?
皆様ご存知、紅の豚ヒーロー ポルコの戦闘艇。宮崎ロマンが生み出した架空の名機。
日本人ならたいていの人が「サボイア」といえばコイツを思い浮かべるだろう。
しかし世界中では「紅の豚」を知っている人だけ。誰もがご存知の通りこの艇の実物はナイ! 
実機のS21と言うのは、サヴォイア社がシュナイダー・レースに向けて試作し、結局ボツになった
奇形複葉(上翼が下翼より小さい!)のド・マイナーな飛行艇。
スクリーン(アニメ)上の絵を形にするのは非常に難しい。あくまでイメージの中のものだから。
プラモの世界では実践されているが、それとてこれがリアル・スケールと言うことでもない。

宮崎駿の雑想ノート「飛行艇時代」に描かれている原画と、映画版ともデザインが異なっているし、
シーンごとに細部が変わっていたりしている。要するに「これが本物」と言うのはないのだ。
夢を実現するにはあくまでイメージを大切に「らしく」仕上げることが課題。
「飛行艇時代」の二宮茂樹氏の架空三面図が唯一の図面といえるもの。これを元にオリジナルで作図。
無論RC機はお飾りではなく飛ばなくてはならないから、空想と現実のハザマで悶えることになる。
当然イメージのまんまスケールでは絶対まともに飛ばないだろう。
まずはお試しということで、作りなれた2205クラス ミニサイズで試作。
案の定、軽い飛びを期待するとなると 図面どおりでは絶対的に翼面積が足りない。
発泡やEPPなどの超軽量素材なら何とかなるかもしれないが、なんといってもイメージ最重視の機体、
バルサ、フィルム張りではどう計算しても主翼は1.2〜3倍に拡大しなければならない。
またいつもの翼面荷重と機体サイズ・重量のジレンマが始まる。

2009年 07月10日 2205クラス、ミニ・サイズでトライアル開始
(このサヴォイアS21フォルゴーレは空想艇だから以後フォルゴーレと呼ぶことに)は丸いかまぼこ型の艇。
いつものミニ・飛行艇のように、サクサク(じゃなくてペタペタ)とバルサの箱では作れない。
そこで最近作九五水偵、零観などの大型水上機で作りなれた、○胴体モノコックと単フロートの工作方法を
ヒントに、発泡スチロール・コア+バルサプランクでいってみよう!
まずは平板上で上半分を組み立てて・・・
ここまでは慣れた手法でスンナリと。
艇上半分はたちまち組みあがり。

垂直板の根元の穴?はチトやっかい。
足?の部分には3mmカーボンパイプを骨にして。
1mmバルサをサンドイッチして水平板差し込み部分を強化。
水平尾翼は後退角つきではヒンジライン、ジョイントなど
厄介複雑目方喰い必定。そこで軽くするにはひとひねり、
ヒンジラインを直線にしてカバーリング後にラインでダマシ。

この段階では、ラダーの形もまだ原作版のデザインだった。
エンジンカバーで悩みにはまるとは・・・
下半分はフロートと同じ手法で(でも1/12の水上機の単フロートより2回りも小さい)
出来た〜 なかなか美しいじゃあ〜りませんか! しかしちょっと重くないかい?
予想をはるかに超えて艇だけで76g! ウ〜ッム こりゃイカンわい。。。

気持ちはどんどん先へ・・・主翼は通常通りスンナリと
マウントは竹棒やぐらでガッチリ。 しかし最大の難物はエンジンカバー!!!
発泡スチロールで上下はさんで「ミッキーマウス(まえからみたらそのもの)」に。
やはり人の子、ナウシカ以前から大の宮崎ファンとしては、
ここでやっぱりメジャーな劇場版、改良型のフィアット・フォルゴーレを選んでしまったのだ。
翼端フロートもジーナ艇等より大きいから、
発泡モナカ(当然アンコなしの皮だけ!)で。

ここでドツボにはまってしまうとは。。。
発泡の表面にパテ(石膏壁用)塗りして
滑らかにサンディング、水性カラー塗装
(といってもここではGUNZEの水性ホビーカラースプレーなんてないから、ポスターカラーの筆塗りで)
あれあれ格好はまずまずの仕上がりだけど、オヤオヤやぐらだけで34gもあるではないか!
フロートもツルツル仕上がりはいいけど1個7gもあるぞ!!!
2009年 07月17日 悲劇はここから始まった・・・
ひとまず組み立て完了。見た目はGOO!合格点。 でも。。。。。。
生地完成重量はなんと195g これではどんな軽量メカを使おうと完成全備重量は軽く300g超えてしまう!
図面の10%増しで8.4デシの翼面積でも 翼面荷重は40g/デシまでいってしまう。
2205+3S全開のカットビ戦闘艇ならなんとかこれでもいけるかもしれないが、とても「並の豚」には手に負えない。イメージどおりじゃ絶対飛ばないって分かっていながら、散々悩んだあげくの設定だったのに。。。
なんでこんなとこだけスケール=ポルコのせりふ「ウッヒョ〜 こりゃ過激・・・」なんだ!
2009年 07月19日 歩には歩なりの意地がある・・・なんとしてもダイエットしなければ!
悲劇のシナリオは「発泡コア+バルサプランク」という手法に始まった。
6〜700gもある2217クラスの大型機なら50〜100gは許容範囲。しかし全備2〜300gの2215クラス小型機では、発泡スチロール接着のスプレー糊は如何にせん目方喰いだったのだ。フル・プランク○胴体ですら重量増加に悩むのにおまけに如何に軽い発泡とはいえアンコまで付いていちゃ・・・コリャ イカン だわさ。

腹を決めて下半分カット!恨みの発泡をむしりとり、新たに1.5バルサでBOXに作り変え。
艇体も少し浅くスリムに修正。
ついでに余分な艇内のBOX構造も取り払い、
支柱も取り付け角度を変えて、メカ・ハッチも広く改修。

ガランとした艇内、果たして結果は・・・
76gだった艇が67gに、ボートで9gダイエット。
ついでに飛行性能には邪魔でしかない(でもこれなしではサマにならない!)ミッキーマウスの内臓も蕩かして削り取り。気持ちダイエットの4g。。。
骨身を削る?減量でも、まだまだ翼面荷重は高い。あくまでも公園サイズのお気軽飛行艇としては、もう一歩。
そこでやむなく翼端を1リブ分4cm延長。ちょっとグライダーっぽい細長の翼になってしまったけれど、
これで翼面積は9.7デシとなり、全備過荷重(〜320g程度)でも翼面荷重は33gデシ程度に抑えられそう。
軽い離水と戦闘艇らしいシャープな飛びが期待できそうだ。

試作の試行錯誤を肥やしに、ついに本番1/15完成へ
2009年 08月04日 本番 2号艇完成 
改良新型 製作過程は「工房日誌 S21−15」で 完成機は「EP サヴォイア15」で



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