工房日誌 製作ダイアリー
ほとんどスケール 1/10 「Sopwith PUP」 新作
WWT初期の英国戦闘機 まともな複葉・単座・同調機銃・・・となると ソッピース・パップ
2011年1/10のタイガーモス、ジェニーと製作、その飛行性能の良さから2217クラスに注目。そしてWWT戦闘機1/10シリーズ化を思い立った。振り返れば1/10サイズは過去にも色々と製作してはいたのだ。
中でもNi17は定番、フォッカーDrTソッピース・シュナイダーアンリオHD2、しかしどれもその時の特注から製作したがそれぞれに特徴ある工作で、シリーズ化して計画したわけではなかった。 
しかもなぜか一番お気に入りだったパップは1/12のままだった。そこで第1作としてメジャーな「キャメル」を製作。つづいていよいよ「パップ」の登場。
過去の1/10はほとんどが小型の機体だったので皆2212クラスで十分な飛行性能だったが、当地ではほとんど価格も大差なく、しかも鼻ペチャの空冷機ではノーズは重たいほど好都合なので、あえて余裕馬力の2217を搭載することに。
 ☆☆☆☆☆ 6年の歳月はメカも技術もアイデアもすべてをまったく新しい物に進化させた。 ☆☆☆☆☆
2011年 8月17日 1/10パップ 製作開始
工作方法はほとんど変わらず。定石どおりに胴枠の組み立て。前作キャメルと同様に防火壁後ろに
Rd,Ev,サーボを埋め込み。
ノーズはハッチ式にしてギリギリのスペースをトコトン切り詰めて1500mA3Sまで搭載可能に。
???キャメルを作った時から気になっていたサーボスペース、リンケージ調整は???
案の定完成した機体ではとても手が入れられないのが判明。頭の中と現物では思わぬトラブルが・・・
★ 以前のアンリオでは同様の位置に逆さにして胴体底面をハッチとしたのだが、このキャメルやパップでは前後巾が短すぎて不可能。
☆ Dr1でやったカウル内モーターサイドにサーボを搭載する方が手入れ楽。。。
結局完成した後から大改修ということに・・・熟慮が足りない? 考えすぎ?
 いずれにせよ試行錯誤の繰り返し。。。
2011年 8月22日 PUPの最大の特徴 ヴィッカース機銃の尻のパッドで包んだ風防ガラス
切り欠き開放の操縦席前にデンと立ってる風防ガラス。しかも機銃の尻に直付け!
コノ特徴を生かす方法はないものか? 機銃を固定したハッチの後部ロック装置に一ひねり!
リアルに再現したヴィッカース機銃をハッチ上に固定
一体化し、コッキングレバーを引っ掛けフックとして、
実機そっくりに操縦席内部の支持架(横パイプ)に
引っ掛けてロック装置とする。
2011年 8月24日 主翼の製作 ここが一癖・・・
PUPは上下とも左右3度の上半角が付いている。中央翼は水平、したがって中央カンザシで一体化してから上下面を平らに修正してプランクするか? 3分割にして結合するか? 支柱取り付け補強ベニヤもあるし・・・
結局上主翼は、最初左右一体で組んだ翼を切り離して、中央翼別作りで3分割結合式に。
下主翼は、ロッド式のエルロンも組み込むので、シンプルに中央カンザシで左右一体に。
上下同寸法同型でうまいことダンビロなPUPの翼が出来上がり。上下翼端エルロンも実寸忠実に。
 と、ここまでは非常にスムーズに進んだのだが・・・
前ダボX2 後固定ビスX1の3点式にしたのが苦労の元。エルロン・トルクロッドにリンケージを組んだら、
ホーンが胴体後部に当たってしまって翼がはまらない! 完全に想定ミス!! 下翼後縁胴体結合部の
エルロン作動ストロークを含んだスペースに余裕がないのだ。
2011年 8月27日 下主翼改修、胴体開口部改修、なんとも無様な後処理・・・ 
下翼付け根の位置を操縦席後部胴枠位置で決めてしまったのが短慮。初めから翼弦いっぱいまでもっと広く開口させておけばよかったのだ。結局後ろ同枠からさらに2センチ後退したところに固定ベニヤをセットしなおし。
ともあれこれにて一件落着。上下主翼ともきわめて簡単に組み立てできるようになった。
2011年 8月28日 ダミーエンジン、カウル、マウント・・・そして 
大戦初期のPUPは、やはり初期のニューポール11「BeBe」などと同じ、ル・ローン9C 80HP
改良型110Hpのル・ローン9Jはニューポール17で散々作りなれている。が この9Cは吸気管が前なのだ!
当然細工も面倒になるがここはなんたって一番目に付くところ。しっかりとこだわって・・・
そして!! サーボの積み替え!!! 
この段階になってさらにもう一悩み。モーターサイドにアンプとレシーバーを積み込む予定だったのだが、
コードやらコネクターやら何もかも一切カウルの中に封じ込めるには如何にせん狭すぎる!
胴体内部のサーボも支柱や翼を組んでからではほとんど手が入れられない。・・・ここで決断!!
かつてフォッカーDrTでやった手法で、サーボをカウル内モーター両サイドに移動。
一度組み付けたリンケージガイドチューブをむしり取り、防火壁にサーボ埋め込みの穴を切り欠き、あらたに胴体内側ギリギリにガイドパイプの穴を開けてラインを引きなおす。最初から組み込むのと違ってメチャクチャ手間がかかってしまったが、これで防火壁後ろの空間にアンプと受信機が比較的簡単に搭載できるようになった。
モーター3本、電源2本、信号線、コネクター、これら諸々は意外とスペースを食うものだ。飛行場でのメンテを考えると出来る限りシンプルで手がいれやすい方が正解だ。
これを機会にロッドも新方式(旧来方式?)に変更。定石の2mmカーボンパイプ+1mmピアノ線、サーボホーンにアジャストストッパーという方法はもっとも軽量シンプルな方法だったのだが、ニュートラル調整トリム修正など、その都度主翼やらカウルやらをはずすのは確かに手間がかかる。やはり旧来のロッド・アジャスター方式の方が外部で調整できるメリットが大きい。多少の重量増加に目をつぶり、2.5mmカーボンパイプ+1.5mmアジャスターロッドでリンケージを作り変え。
意外にもこれだけ強化しても重量は数g増えただけ! まだまだ以前からの軽量化努力のクセが既成概念としてこびりついていた。それだけ血眼の努力をしていたという証でもあるのだが、時代は変わり性能も変わればおのずと視点も変わるもの。瓢箪から駒、結果オーライ 目出度し 目出度し
2011年 8月30日 1/10 PUP 生地完成 365g?!? 
 さんざん作りなれたシンプルな構造のPUPゆえ ついつい気が緩んで凡ミスと改修がたたり、生地完成では重たいはずの兄貴分キャメルより5gほど重くなってしまった。 その原因は?
ダンビロな3分割上半角の主翼、下翼取り付け部の改造、強化したリンケージロッドと取り回し。
 後処理はどうしても目方が増えてしまう。最初の構想が如何に大切か・・・
比べてみると一目瞭然、キャメルの上翼は水平でカンザシ部もなくアウペクト比の大きい細長の翼。  翼の構造は意外と重量に影響がある。後退角や上半角といった接合部の複雑さがそのまま重量増加につながるのだ。

ソッピース・キャメル 他1/10比較 
諸 元 パップ
新1/10(2217)
キャメル
新1/10(2217)
Ni17
1/10(2212〜)
Dr.1
1/10(2212〜)
DH82a
1/10(2217)
Jenny
1/10(2217)
全巾 810mm 850mm 830mm 720mm 900mm 1330mm
全長 575mm 560mm 590mm 570mm 730mm 820mm
翼面積 24.0dcu 22.0dcu 18.0dcu 19.0dcu 24.9dcu 36.6dcu
生地完成重量 365g 360g 290g 296g 395g 460g
機体完成重量 445g 430g 345g 345g 495g 575g
メカ積重量 (590〜)g (575〜)g (470〜)g (500〜)g (645〜)g (725〜)g
全備重量 (675/1000mA)
(705/1500mA)
(660/1000mA)
(690/1500mA)
(560〜)g (590〜)g (760〜)g (845〜)g
翼面荷重(全備) 28〜29.4
g/dcu
30〜31.3
g/dcu
31.1g/dcu 30.8g/dcu 30.5g/dcu 23.0g/dcu

Return to Building Daily INDEX 工房日誌 インデックスへ戻る