工房日誌 製作ダイアリー
  ほとんどスケール Macchi M.5 1/10
マッキM5といえば 誰でもすぐに 紅の豚 マルコ・パゴット大尉回想シーンでの戦闘艇が浮かぶ。
流石飛行艇には蘊蓄のある宮崎アニメ、わずかなシーンだけの登場でも、実機があるマッキM5は
かなりの正確さで描かれている。 実機図面や写真資料を元にリアル・スケール1/10で。
35mm径(2814/3530)モーター仕様で新規製作。

2017年8月 Macchi M5 1/10 改修2号機 NEW ・・・・・・ (茨城)M.N.さま

2014年8月 Macchi M5 1/10 新作初号機 ・・・・・・ (室蘭)H.M.さま

月日のたつのも夢のうち、浦島よろしくあっという間に3年過ぎた。
今回のマッキM5は サヴォイア連作のおかげで飛行艇のノウハウもかなり向上。
様々な経験値をつぎ込んで 改修新型でリファイン。
2017年 8月 18日 前作サヴォイア出荷待ちのうちに製作開始
艇の基本工作は前作とほとんど同じ。余分なこだわりは捨て胴枠の台形はやめてシンプルな矩形に。
艇底の縦通材も増やし、ステップ部分はフォーム埋め込みで強化。
尾翼リンケージは十分な剛性を持たせて1.6mmピアノ線ダイレクトの一本ロッドで作動を確実に。
《改》 操縦席ハッチは前作サヴォイア・ヌーボ同様凹凸はめ込みビス止め式に。防水性向上。
《改》 下翼はカンザシやフロート差込み部、支柱取付け部など各所を強化。ハーフ・プランクはなし。
回転式ハッチ押さえだったヘッドレストは、フロート同様のロッド差込み式でワンタッチ取付・取外しに。
支柱の製作
《改》 カーボン・パイプは5mmに。
△支点には1.6mmピアノ線で
Vピボットを組み込み。
スチール・エポキシでガッチリ接合。
ビス止部は1.2mmピアノ線の曲げワッパ
これだけ作ると指にはマメだらけ。。。

水平アライメントにはかなり気を使う
これで上主翼の取付が決まるのだから!
《改》 エンジンポッドの上下支柱固定部は、3mmビス・ナット接着締め付け固定で、
   上下支柱を重ねてナイロン・ロックナット締めに強化。
翼端フロートはサヴォイアの常套手段、
翼内にシリコンチューブ埋め込み
カーボンロッド差込み式のワンタッチ。
荷重に応じて高さの微調整も可能。
実機同様尾部のフィンが水面に浸かる。
上主翼 翼間支柱の組み立て
M5の最大の弱点、一葉半の下翼支柱支点は1ヶ所でV型支柱。これじゃ捻れが出て当然。
 WWT当時の流行最先端=ニューポールの罪?で多くの設計者が泣かされた。。。
《改》 V支柱はピアノ線+ベニヤサンドイッチ+シュリンクカバーでガッチリ強度のあるものに。
下の支点は翼端エルロン部分への支柱のピボットも兼用。翼端への支柱は張り線をやめて
針金+2mmカーボンパイプ重ね(写真は未装備)で、先端は旧来の小型機翼間支柱で実績のある
針金折り曲げ式で、上翼のアライメント、翼端の迎え角も微調整自由自在に。
これで翼の捻れも押さえ、エルロンリバーサルは防げるし上翼全体の剛性も向上する。
2017年8月29日 基本工作終了 生地完成に
荒れた芝生を水面に見立てて。翼端フロートの位置も結構うまくいきそうだ。
今回は帰国後国内生産なので梱包のための主翼分割結合は廃止し、一体の主翼にしたので
製作もずっと楽になり余分なカンザシ部分を省略できるので多少の軽量化にも貢献。
材料や部品を強化して重量増加が懸念されたが、約一割増 生地完成535gで仕上がった。

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今回のマッキM5は 35径(2814)モーター仕様で新規製作。
旧作M7 1/11(2217)とは全く異なった手法で、最近の大型ジーナ艇の経験を活かしてすべて新設計。
2014年 8月 15日 作図に念を入れて完全新作として製作開始
後部がせり上がった艇を正確に組むために、従前のジーナ艇の手法で、側板上辺を基準線として、
平板上で組み立て完成後、上部ラインを切り取る方式で。支柱ピボット部分はベニヤ内張りで補強。
艇断面は台形で、ステップ部分はイタリヤ艇独特の⌒底、まずは前半分の胴枠を図面通りに製作。
後ろ半分の胴枠はバルサ板に直接作図して
枠を接着してから切り取り。
艇底のV型は大きめに作っておき
キール組み立て段階で現物あわせで修正
組み立て時には胴枠を平板に瞬間点付けで位置を固定。底面を貼り下側完成した時点で台から切り離す。
支柱ビス止め部分はベニヤ積層で補強。尾翼差込みスリットを作りつけリンケージもここで組み込み。
艇上部、ハッチの工作。ジーナ艇同様にヘッドレストを回転式にしてハッチを閉じる方式。
そのためヘッドレストはどうしても幅が狭くなってしまうのがつらいところだが・・・
前面はダウェル、穴にせず 胴枠下側に袖を差し込む方式で気持ちだけでも防水性に留意。
尾翼もジーナ艇同様 艇後端のスリットに差込み接着。   ノーズにチャインを造作、底面をエポパテで整形補強。
下翼の製作
上半角+後退角の翼は中央接合部が厄介だ。どうしてもここで余分な目方を食ってしまう。
一葉半形式のため下翼は小さい。モノスパー+V型翼端支柱のため実機でも捩れ剛性が不足気味。
WWT時のニューポールが流行の元だが結局同形式を採用したアルバトロスなども後から苦労することに・・・
さすがに次のM7では一般的な2本支柱に改修された。
上翼は大きく長いので翼端にさらにV支柱も追加。こうでもしなきゃ捩れ剛性に対処できなかったんだろう。
スピードも低いし、アンダー・カンバーの古典的な翼だったから、まだまだこの時点では使えたんだろうが
これなしではエルロン・リバーサルも起きただろう。
実機はアンダーカンバー翼なので前後縁の高さの差も
艇中央部のカバー整形だけで済んでしまうが、
一体下翼は下面フラットの翼型なので前縁位置が低い。
前後段差をふさぐ上面プランクは複雑なカーブになり
整形にかなり苦労する。

コード通しの穴を開ける段階で問題が!
前支柱ピボット、翼ダウェル穴の関係で どうしても
大きく開口できない。やむなく右側ダウェルだけ
内側にずらして付け直し。
上主翼の製作
上半角0なので比較的簡単なのだが、どうしても梱包の関係で左右分割式にしなければならないのが辛いところ。
エルロンはベニヤ・ハッチ式に。コード・トレー式の密封防水翼。ところがドッコイ、この翼は薄い!
トレーも横長にしてコネクターをクリや。 ハッチにサーボを組むと翼上面ギリギリになってしまう。
やむなくサーボ室上面は翼上面と面一のプランクに。ここだけフィルムが凹まず出っぱって見えてしまうかも。。。
厄介なのが翼端形状。アンダー・カンバーなら問題ないのだが、フラットボトム翼型だから、翼端は
斜めに切り上げる、しかしエルロン後縁はストレート。ここが思案の一夜漬けで一ひねり、
エルロン翼端だけ付け根に向かって斜めに折りあげて、後縁はストレート、翼端後部だけ斜め、
横から見ると変則的なラインだがアンダーカンバー翼のイメージはなんとかキープして・・・
これからがメイン・イベント! エンジンマウント、中央支柱の製作
旧作M7ではエンジンブロックを上翼下面に接着固定、下側だけ支柱で艇にビス止めという苦肉の策で解決したが、
時は過ぎ経験値もついて、今回はジーナ艇同様エンジンブロックを独立させ、上下とも支柱にしたい。
またまた無い知恵しぼって二夜が過ぎる・・・
実機同様のデザインで、エンジンカバー部分をまるごと
ベニヤのボックスにして、実機のエンジン・マウントの
部分をベニヤ積層で強化して、ここをピボットにする。
ラジエターとオイルパンはバルサの張りぼて。
ダミー・エンジンはお馴染みバルサスクラッチビルト。
モーターマウントの関係でクランクケース部分が高くなって
エンジンはシリンダー部分が少し寸づまり。
機体に組み込んだあとでも、後ろ側からはめ込みで
着脱可能。左右からビス止めで固定する。

なんとかイソッタ・フラスキーニに見える。 かな?
M5の写真資料が見つからないので、吸気管はM7の
2キャブ フラスキーニ・アッソの形で・・・


頭の「ツノ」は機体組み込み時のセンターリング用
上翼中央下面の穴に差し込めば位置決めは完璧。
中央支柱は上下ともビス止めの組み立て式
図面から読み取った寸法で原寸図を書き、その上で角度寸法を確認しながら組み立て。
上下ピボット部分はピアノ線の輪っかに。上翼取り付け部はコの字形ピアノ線差込み接着。
エポキシをつけて図面にテープで固定して固着させる。位置決めは何度もチェックして慎重に。
仮組みして、水平・垂直をチェック。ピボットの輪っかを折り曲げながら、角度を合わせて位置をアジャストする。
機体組み込み時点では、カバー頭の角が上翼中央部分に差し込まれるので、センターリングは問題なし。
翼端支柱は上下ともビス止めの式に
針金のVにカーボンパイプは抱き合わせ、バルササンドイッチ、
シュリンクカバーで強化。上翼取り付け部は長穴のU字形にして
アライメント微調整ができるように。

下翼のピボットには穴付きワッシャーを共締めして、
翼端への張り線取り付け用に。


やはり実機同様下1点の▽支柱はどうしても下翼の捩じれ剛性が
不足でヨレが出てしまいそうだ。
ここまできてやむなく前縁半プランクを追加、1mmバルサの
薄板プランクだけでかなり剛性が向上、しっかりとした翼になった。
上翼の翼端支柱外側にエルロンがあるので、ここからさらに翼端に向けて「支え」がないと翼がねじれてしまう。
支えなしではエルロン・リバーサルも起こってしまうかもしれない。

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実機写真ではどう見ても▽の支柱に見えるのだが、アニメの中のマルコの機は空戦でやられて張り線が垂れ下がっている。。。
    そこでとりあえず今回は模型としては十分な強度もあるので、張り線追加ということに。
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さてさて準備万端整った。生地完成で500g ほぼ同じサイズのジーナ艇1/12より僅かに軽い。
細身な艇で、一葉半の翼が貢献しているようだ。

 あとは塗装(艇側面は濃い茶色)とカバーリングで完成に・・・

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