工房日誌 製作ダイアリー

ほとんどスケール 大日本帝国海軍 三式陸上初歩練習機 K2Y2
2217クラス、1/12サイズの九三中練も数を重ね、さらに三式陸上初歩練習機のご注文もいただき、海軍航空の登竜門たる初歩練習機に勇躍取り掛かることに。
大正から長く慣れ親しまれた名機「アブロ504」も時代と共に旧式化し、海軍航空廠が新規製作したのがこの三式初練。機体設計は多くの点でアブロをベースにしており一見すると似たような機体ではいるが、時代にあった装備でまったく別物といってよいほど異なっている。
数少ない というよりほとんど無いに等しい資料から、旧作のアブロを参考にしつつ、久々の新作機に興味津々で取り掛かった。
2012年 7月20日 三式初練 新規製作開始 
胴体基本骨格は作りなれた第1次大戦機などとほとんど変らない角胴体。定石のデッキ工法?で平板の上に仮接着で組み上げる。下側部分をほぼ完成させてから、台からはがして上部を作る。いつもの手法ですんなりと。この段階でRd、Evサーボ・リンケージも組み込んでしまう。
一番大きな違いはエンジン。空冷星型7気筒名機ガスデン「神風」
胴体先端の防火壁に直接マウントベースを貼り付け、エンジン架からエンジンまで一体のカバーにして、モーターをまるごとスッポリおおってしまう。タウネンドリングすらないむき出しのエンジンなので、前側だけというわけにはいかず、ダミーエンジン製作は他の倍も手間がかかる。7気筒なのがせめての気休め。
ベニヤのドーナツ型シルエットを芯にして前後にバルサを貼り、7つのシリンダー、ヘッドをいつもの
焼きナイフのフィン刻みで仕上げる。クランクケース=モーターカバーに組み込んでから、プッシュロッド、
ロッカーカバー、ギヤケースをつけて外観完成。
裏側までむき出し丸見えなので、吸気管はポリチューブ炙り曲げ、排気管は被子チューブ工作で仕上げた。
瓢箪から駒で、九三中練などで作りなれていたバルサ工作の排気管は毎回やたら手間喰い虫だったが、
今回排気管を全部被子チューブで製作してうまい結果が出た。これならず〜っと楽に見場良く仕上がる。

一つ道が出来るとそれに固執してしまうのは日本人の欠点、窮すれば通ずでまったく新しい発想が出ると
いとも簡単に解決前進するものだ。絶えず「なんかないかナ?」の探究心は失ってはならない。
尾翼 脚を製作して 胴体は組み立て完了
アブロゆずりのフル・フライングの卵型ラダーは
あまりにも小さいので10%ほど増積。

脚は2mmと1.5mmピアノ線ハンダ付けで、
△一体型のシッカリしたものに。
バルササンドイッチ→サンディング成形→
フィルム巻きつけカバー→塗装 で支柱を成形。
主翼の製作 上下同型直線翼なので工作は楽・・・のはずなのだが
スパー、リブ、翼端板などパーツは共通で一括製作。
組み立ても上下同じで、中央カンザシ結合部分の
成形が異なるだけ。
下翼エルロンサーボは、前作九三中練同様に
下面埋め込みで簡単に・・・とはいかず
翼弦も狭く翼厚も少ないので、上面までギリギリで
サーボ部分だけリブ間プランクしたような形に。
9gサーボのコードがピッタリちょうど中央まで届くので、コード延長工作が省けたのがラッキー
2012年 7月 20日 三式初練 生地完成に 
細くテールモーメントの長い胴体、フルフライングの小さいラダー、随所にアブロ504の面影を残しながらも
丸い翼端、三脚式の足、上下連動の翼端エルロンなど 確かに近代化した機体にはなっている。
安定性と信頼性、初歩練習機としてはそれなりに完成された形ではある。
シンプルな機体構造ではあるのに、生地完成で330g。確実に他の同サイズ機よりは軽量ではあるが・・・
もうすこし軽く仕上がる目論見だったのだが。
 太目の8本の翼間支柱、リブキャップをなくしリブ枚数を増やした、この辺が目方喰いか。。。
こだわりのディーテール ガスデン神風
長めの2217モーターが うまいことスッポリ
ダミー神風に包まれた。

いかにも初歩練習機らしい むき出しの小型エンジン
まずまず雰囲気は充分再現されたと思う。

懸念していた着陸時のつまづきゴツンでも
ペラアダプター先端が接地して エンジンは直接地面には接触しないから、まずエンジン破損は回避できるだろう。


大東亜戦争以前 多くの海軍飛行士たちが経験した三式初練は、後の九三中練ほどメジャーではないが
歴史の一駒として記憶されるべき機体である。

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