工房日誌 製作ダイアリー
WWT後期のドイツ戦闘機の傑作 Fokker DZ 戦勝国が全機引渡しを主張した名機!
2011年 1/10でWWTシリーズを キャメル、パップ、SE5と英国機を作り いよいよドイツの名機

 大戦初期に同調機銃装備で連合軍を震え上がらせた「アインデッカー」で知られたフォッカーは、独特のちょっとクセのある設計が特徴。
それからはDXなどあまりパッとしない試作機のあと、決定版となったDZを開発。しかし後世に名機と謳われたこのDZも試作機段階では少々難ありで、試乗したリヒトフォーヘンは操縦性が気に入らず、同じフォッカー機でも小回りの得意な三葉のDrTを選んだ。
その後胴体を1胴枠分延長し、フルフライングのラダーをフィンつきにするなど大改修を加えた結果、メルセデス180HP、そしてBMW200HPというハイパワーエンジンと相まって高性能高速機に生まれ変わった。新兵でも乗りこなせるバランスのいい使い易さと頑丈さを兼ね備え、実戦に強い実用戦闘機に仕上がった。
独特なテーパー厚の上面フラットなモノコックの主翼や、高張力クロモリ鋼管のフレームや張り線のない支柱など、すでに後世の米国のカーチスなどの手本となる一時代先を行く先進性を持っていた。
この辺が、戦後連合国をして「DZをすべて引き渡せ」と言わしめた名機たる所以でもある。
エルンスト・ウーデット(真っ赤な機体にド派手な白のキャンディー・ストライプでいかにもスタント名人らしい目立ち目立ち)、ヘルマン・ギョエリング(真っ白無垢で何の飾り気もないけど迫力がある)といったWWU時代のナチス空軍トップとなる名パイロット達に愛用され、大戦末期のドイツ空軍の力を鼓舞した。が、その活躍時期はあまりにも短すぎた。
 すでにドイツ国内の物資は底をつき、タイヤのゴムすらなくなんとコルクで代用したり・・・ 名目だけでも連合国として参戦した日本が分け前として入手したDZは、日本に舶着した時にはすでにタイヤはボロけてリムとスポークだけになっていたそうな。
そこまで逼迫した状態でもこれだけの名機(エンジンも同様)を作り出せたドイツの工業先進性は、英仏米に脅威を与えたことは間違いない。皮肉にも同じようなことがWWUでも繰り返され、ジェット、ロケットなどドイツの先進の英知はそっくり米ソに持っていかれてしまった。

 戦後石頭の英国が見過ごしたVWビートル(フェルディナンド・ポルシェ博士の名作)そしてポルシェがアメリカを世界中を席巻し、メルセデス・ベンツが高級乗用車の代名詞となったこと。進駐したアメリカ兵が驚喜してBMWのオートバイを漁ったこと。MP44突撃銃が悪名高きAK47カラシニコフのモデルとなったこと。高精度カメラといえばライカ、レンズ・双眼鏡ならカール・ツアイス、ヤマハが最初に作ったオートバイYA1はDKWのフルコピー、枚挙に暇がないほどドイツ工業製品は第2次大戦後も最高峰であった。 余談はきりがないこの辺で切り上げないと。。。
2011年10月17日 1/10 フォッカーDZ 製作開始 (大洪水の対策で物置と化した作業場で・・・)
従前2212クラスとして1/12で製作し、基本的なノウハウはつかんでいたが、1/10でさらにスケール度UP、
内容充実した2217クラス機で
本機の特徴である水平板取り付け角は2度の迎え角を付け、テールヘビーと頭上げに対処
胴体基本構成は1/12とほぼ同様、
サイズが大きくなりバッテリー室など
スペースに余裕が出た。
側板、Lフレームは2mmで、内張り補強などは
最小限にとどめ軽量化を。
脚固定部分は2.5mmベニヤでしっかり強化。
組み立て冶具アルミ平板から剥して 上部構造とエンジン部分のハッチをつくるとほぼ形になる。
1/12との違いはノーズ。ラジエターは一体モールドではなく下側だけにして、バッテリーをギリギリまで
前方に搭載できるように、上部はベニヤ胴枠とバルサ積層で成型。
ハッチのエンジン部分は初期型メルセデスに。(あくまでも自分の好みでBMWよりメルセデスを・・・)
(あとで困った! 派手なマーキングのウーデットはBMW搭載型だった。ゲーリングは初期型だが真っ白だけじゃぁねぇ・・・)
特徴的な尾翼がつくと胴体はまさにDZらしくなる。
この時点でサーボマウントとテールのリンケージガイドパイプを組み込んでおく。
試作機では旧来のフォッカー機の特徴のフルフライングのラダーだった。胴体も短くそれが縦安定の不足となりリヒトフォーヘンに嫌われた。その後胴体後部を延長し、ドーサルフィンのような垂直板を追加して性能が向上したのだ。
脚と車軸部分の少翼の製作 (この小羽根は何の効果があるのだろうか? 整流のため?? 少しでも揚力を稼ぐため???)
安物生活雑貨売り場で見つけた掘り出し物、ガスライター・トーチは意外と高温強力で一点を集中してヒートできるから2mmのピアノ線でもハンダ付けがいとも簡単にできる! 前後のピアノ線を電線の細い銅線で巻き、加熱した所へハンダを溶かし込む。
これも1/12同様 脚注先端の▽に合わせた切込みで位置を固定する。輪ゴム止めでショック吸収。
これまたDZの特徴 鋼管組の支柱はカーボンパイプとピアノ線で 
前後の長さ、傾きの異なる三次元的位置関係は
ゲージがないと正確な位置決めが出来ない。
■胴だからまだいいけど○胴だと???
支柱付け根は1mmピアノ線の輪を作り根元にカーボン糸を巻いて、エポキシをつけて5mmのカーボンパイプに差し込み接着。ビス止めとする。
前作サヴォイアのエンジンマウントでコツをつかんだ方法。
前支柱の△の補強支柱は4mmカーボンパイプ。V型ピアノ線でつなぎ根元は側板内側補強部の穴に差込む。
この位置決めが悪いと翼の取り付けが狂ってしまう。機体完成後仮組みして位置を確定してから接着する。
ここまで来るとほぼ胴体が完成になる。これから細部の艤装がまた一仕事。
シュパンダウ機銃 メルセデスエンジンの工作
ここでまた旨い物工具 
カセットコンロのブタンガスボンベを使うハンディートーチ。
これを傍らにおいてピアノ線の先端を赤焼きし、バルサ
スクラッチビルドの機銃に放熱穴を焼きこむ。
毎度のことでシュパンダウの長穴には苦労させられる。
1/10スケールということで細部にもこだわり、コッキングレバーまで再現。排莢ガイドはシュリンクチューブでリアルにやわらかく。

ここでまた手が加わってラジエターも改造。
初期のメルセデス搭載型はラジエターの頭が欠けているのです。ラジエターキャップまで付けたりして・・・
2011年10月28日 いよいよ主翼の製作 (大潮の危機を何とか回避 ほっと一息・・・)
上面がフラットで下面がテーパーになる翼、しかも平面形は矩形だからリブは翼端に向かって薄翼になってゆく。
1枚1枚作図していたら気が遠くなりそうだが、翼弦同一で頭を斜めに削れば意外とすんなり作れる。
サンディングでリブ頭は斜めになるが、組み上げてから面一サンディングで平らに仕上がる。その分約1mm高く作っておくのがミソ。スパーは前後とも一本通しで、下面のテーパーを同じ角度で削り左右片側ずつ傾けて
平板上で下面を基準にリブ組みして仕上げれば、上面フラットのテーパー厚翼が出来るのだ。
ここまで出来てから今ひとつ納得行かない。どう見てもエルロンが小さすぎる! 
実機縮尺で寸出ししたからで、RC機の旋回性能としてはあまりに頼りない。
改造を試みたが回り道、ヒンジラインごとそっくり作り替え、翼弦も巾も拡大してやっと納得。
まだ固定していない支柱に仮組みして、慎重に位置決め。
実機のように前後斜め支柱を別々にしたら、
どうやっても上下完全な位置決めは不可能だろう。
4本とも全部違う長さ、角度の支柱を高等数学で
算出するのは凡人には無理だ。
左右の翼間支柱を同一に作り上下合わせれば、
前の△支柱を遊動式にしてあるから比較的楽に
正確に位置決め出来るのだ。
2011年11月 3日 仮組みしてほぼ機体の形が出来上がった (迫り来る洪水の戦慄を感じながら・・・)
あとは胴体サイドの金属板部分のルーバーやら、PETモールド作りのカウルやら・・・あと一息

2011年11月 4日 ハイ それまでぇ〜よ〜
2011年タイ王国50年に1度の大洪水が遂に王都バンコクに侵入。
  とうとう我が家も水上二階避難生活と相成ってしまった。
    今日の続きはまた明日 ではなく またいつの日か? 
      一日も早くこの災禍が収まってくれることを祈りつつ 「オアズケ〜」 泣けてく〜る〜

2011年12月 6日 50年に1度の大洪水からやっと回復 再起一番
いよいよ残された最終仕上げ。まづは最重要の翼間支柱 この角度寸法によって上下翼の整列が決まる。
台紙に正確に上下翼の線、ピボット位置を描き、ピッタリあわせて針金で寸法をだす。
いつものようにバルサでサンドイッチして削りだし。
支柱は前後長さも角度も違うので、他の複葉機みたいに
同じもの4本というわけにはいかない。
N字型に位置決めし、斜め支柱の上下端はビス止めにして
位置を確定することに。前後上下は従来どおり針金折り曲げに。この加減でさらにアライメントを微調整できる。
完成後フィルムでカバーして塗装。
ノーズのエンジンカバー部分はDZ最大の特徴 
側板の上にカバーの形に1mmバルサを貼り付け、サンディングして0.5mmくらいまで薄くする。
ハッチ部分は溝を掘り込み、ルーバーは1.5mmバルサを貼り付け。リアルに仕上がった。
ちょっとデッパリが強い感じで、なんとなく昔のモノグラムのプラモほどではないけど、ずっとマシかな?
ノーズのラジエター部分はPET成型でピッタリかぶせる。着陸ゴッツンでもしっかりガード。鼻っつらは強いぞ!
支柱を組んで最終的翼アライメント確認
カバーリング完了後再組み立てして、穴に差し込む斜め△支柱をエポキシで固定すれば完了。
超豪華 リアルなシュパンダウ機銃が本機の最大のオマケ
2011年12月10日 ようやく生地完成に 生地完成重量395g
やはり機体が大きい分他の戦闘機より気持重い。しかし結果的にはSE5より5g増えただけで仕上がった。
まずは成功作といえるだろう。やはり長鼻なだけにCGバランスも最高、ウェイトなしでもOKだろう。

1/10 WWTシリーズ  諸元比較  飛行過荷重(バランス・ウェイト込み)
諸 元 全巾 全長 翼面積 生地完成重量 機体完成重量 メカ積重量 全備重量 翼面荷重(全備)
DZ
新1/10(2217)
890 mm 680 mm 22.7 dcu 395 g 500 g 655 g 770 g
( 3S1500mA =115g)
33.9g/dcu
(ウェイト=不要)
SE5a
新1/10(2217)
820 mm 625 mm 22.8 dcu 380 g 450 g 590 g 705g
( 3S1500mA =115g)
30.9g/dcu
(ウェイト=不要)
パップ
新1/10(2217)
810 mm 575 mm 24.0 dcu 365 g 445 g 590〜 g 675/705 g
800 g
28〜29.4g/dcu
33.3 /dcu
キャメル
新1/10(2217)
850 mm 560 mm 22.0 dcu 360 g 430 g 575 〜 g 660/690 g
g
30〜31.3g/dcu
g/dcu
Ni17
1/10(2212〜)
830 mm 590 mm 18.0 dcu 290 g 345 g 470 〜 g 560〜 g
600 g
31.1 g/dcu
33.3 g/dcu
Dr.1
1/10(2212〜)
720 mm 570 mm 19.0 dcu 296 g 345 g 500 〜 g 590〜 g
670 g
30.8 g/dcu
35.2 g/dcu
DH82a
1/10(2217)
900 mm 730 mm 24.9 dcu 395 g 495 g 640 〜 g 760〜 g
790 g
30.5 g/dcu
31.7 g/dcu
Jenny
1/10(2217)
1330 mm 820 mm 36.6 dcu 460 g 575 g 725 〜 g 845 g
895 g
23.0 g/dcu
24.5 g/dcu

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