工房日誌 製作ダイアリー
ほとんどスケール 大日本帝国海軍 九五式水上偵察機 1/12 2217クラス
支那事変で活躍した傑作水偵。戦闘機並みの空戦もこなした中島の傑作
元はといえばボート・コルセア観測機をパクッた90水偵の改良型だから 名機なのも当然
とはいえ低翼単葉金属機に移り変わる時代の複葉機としては集大成的な傑作機であるのは事実。
まだ手がけていなかった単フロートの複葉機といえば、この九五水偵がまず浮かぶ。
かの有名な飛行機画の名作 小池繁夫氏のイラストは、見ているだけで引き込まれる。
ご一見あれかしClassical Aeroplanes

2012年 10月 九五式水上偵察機 E8N1 1/12(2号機 ・・・(福岡)T.S.さま

2009年  4月 九五式水上偵察機 E8N2 1/12(初号機 ・・・(名古屋)H.O.さま

2012年 10月 九五式水上偵察機 E8N1 2号機
2012年 10月 10日 リピートご依頼にお応えして 九五水偵 2号機 製作開始
胴体基本骨格は前作同様、平板の上に仮接着で側面の縦通材まで組み上げる。
今回はここで切り離さず、そのまま下翼を完成させ、平板上で胴体との接合部を仕上げる。
逆ガル+上半角(1.5度)なので狂いなく正確に位置決めするには、ここで慎重に現物あわせで確定する。
中央支柱は3mmカーボン◎に1.5mmピアノ線貫通で
斜め支柱もカーボン糸巻き固定接着で一体に仕上げ、
バルサ成形+フィルムカバーで仕上げる。

タイガー・モスやアルバトロスなどもも同様だが
後退角+前後非平行なので 側面形で仕上げてから、
正面形ゲージ(厚紙作図)に合わせて長さを調整しながら
これまた現物あわせで正確に位置決めしなければならない。
上下主翼の製作 今回も他の水上機種同様 エルロンサーボは密封防水形式に改修

ハッチ+トンネル式では転覆時には翼内部に浸水してしまい、主翼が再起不能になってしまうので、
エルロンサーボは上翼下面に埋め込み、コード・トレー式で、フィルム重ね貼りでカバーする。


下翼中央ガル部分、フロート後部支柱固定部分はベニヤカンザシでしっかり補強
主フロートの製作 
軽量化より正確さ強度を重視して、2mmバルサ枠組みのセンターキール両側に発泡を貼り
ステー2mmピアノ線差し込み接着固定部分を正確に位置決めしてエポキシで接着。
さらに両側に発泡を貼り付け、シルエットを成形して
全面バルサプランクで

実機並みの⌒底は成形困難なので、舳先部分に
チャインをつけました。
翼間支柱の製作 
翼間支柱は定番
 N字型針金+バルササンドイッチ+フィルムカバー

上下エルロン連結ロッドは
 1mmピアノ線上下分割+シュリンクチューブ
 位置決め瞬間接着で 微調整自由自在
ダミーエンジンの製作 
尊敬する小池繁夫氏のイラストを元に、九三中練のような導風板つきの「寿2型」で

2012年10月18日 生地完成
あれこれ手を加えたので重量増加が懸念されたが
結果は生地完成(リンケージ済み)で 425g 
前作より50g以上軽く仕上がった?
(前作では、フライトレポートから逆算すると480gくらいになったはず。全備重量は800gを超えていた。
  完成時の計量、または記載に誤りがあったのか? 
  それとも飛行時に浸水等で全備飛行重量が増加したのだろうか?
  とすると逆に今回は50gほど増量ということになる。 いずれにせよこの状態なら完成機にして
   全装備でも800gには収まるはずなので、翼面荷重は37gデシ程度で飛行性能は充分期待できる。)

                ページトップへ戻る

2009年 4月 九五式水上偵察機 E8N2 初号機
2009年 3月 18日 ご依頼あり 宿願の九五水偵 新規製作開始
胴体基本骨格は作りなれた九三中練などとほとんど同じ。平板の上に仮接着で組み上げる。
側面の縦通材まで出来たら、台からはがして上部を作る。この方法ならまず胴体は狂い無し!
難関は逆ガルになっている下翼。なんで複葉機でここまでこだわらなければならないのか?
フィレットまでつけて・・・まだ当時は全金属単葉機が確立していなかったのですねぇ
複葉機としては究極ともいえるまであらゆるノウハウが詰め込まれている。
フラットに組んだ下主翼を中央で分割、上半角と中央の下半角部分を切り出したベニヤカンザシで接合。
胴体切取り部分(翼型にあわせ左右対称に削りだし)にフィレット△の下側となる1mm平板をはさんで、
主翼カンザシの角度にあわせ接着。おっとその前に下翼中央上面をプランクしておかなけりゃ。
ダボ、止めネジをセットして主翼を合わせ、ピッタリ重なるように位置決めしてから接着。
隠れる部分なので隙間はバルサ粉を充填、正確な面出しにジックリ時間をかける。
フィレット後部も貼り付け、上面を貼る。・・・と口で言うほど簡単ではない!
現物あわせで曲線を見ながら何度も修正削りだしして瞬間のスポット溶接で△を決める。
胴体と接合部分の曲面はパテで修正して仕上げる。サフェーサーを吹いて一件落着。

低翼単葉機でも同じことだけど、実機なら薄いジュラ板一枚だけのことなのに、バルサ工作ではフィレットはやたら手間と目方を喰う厄介者。それに見合う空力性能なんて小さな模型機には期待できるほどのものではないのに、余分なことに手間ひまかけるのがスケールオタクの悲しい性。。。
実際 実機でもここまでして逆ガルにする必要があったんだろうか?それほどまでに海軍さんはシツコイのか?中島技師の意気地とメンツか? フィレットを大きくしてカバーすれば普通のストレートな翼のほうが軽く早く作れたんじゃないのか??? 戦争の武器って単純なものほどよく働くんですけどねぇ・・・

ともあれチャーム・ポイント?は解決。お次は上半角+後退角の厄介な上翼だ。
← エルロンは上下連動翼端エルロン。上翼左右にハッチをつけてマイクロ・サーボ2個のダイレクト。
  翼間支柱は2mmカーボンパイプ+上下針金フック+バルサ貼り付け+シュリンクカバー=強度十二分。
  連結ロッドも2mmカーボンパイプ+上下クランク曲げピアノ線で
→ 中央支柱はいつもの4mmカーボンパイプとピアノ線+PETパーツでネジ止めに。
  トラスもダミーではなく3mmパイプを接着、カーボン糸で縛って固めて、ガッチリ完璧な支柱にしました。
← フロート・ステーは2mmピアノ線にバルサ+シュリンクでカバー。前は胴体溝差込で角度を決定。後は主翼下面補強部にPETパーツ+ビス止めに。仕上げはナイロンテグスの張り線を・・・
→ 尾翼は胴体縦通材を延長。スロットをつけて水平板も垂直板も差し込み式でガッチリ位置決め。

機体ができたら、あとはデカイ単フロートだ!
主フロートは発泡スチロール板3枚重ね。中央は外周だけにして中空に。翼端は2枚貼り合わせ。
アウトラインをカッターで切り出し。上下のバルサ外板接合部に3mmバルサ棒を埋め込み接着。
メイン・ステーは2mmのハード・ピアノ線にバルサ貼り重ね、ヒシチューブシュリンク。
内部下側の位置決めは3mmバルサをフロート中間に埋め込み接着。
ステーの角度、位置をシッカリ決めて(もちろん何度も機体に仮組みして慎重に確認)
上面の差込み穴部分も3mmバルサ埋め込み接着で内部補強。
九三水練で苦戦した1mmバルサプランク
まづは翼端フロートで小手試し
今回は後部サイドの絞り部分を△平板別貼りで解決
重なり部分は斜めに薄くサンディングして段つき無しにシルエットを決める。
金属板じゃないから板金たたき出しなんて出来ない!
何度も位置合わせして切り込みを整え、
外板内側と発泡ボデーにスプレー糊を吹き付けて、乾いたら慎重に上部中央をあわせて貼り付け。
バルサの接合部分を瞬間でスポット溶接!

思ったとおり!見事成功。何事も経験値が大切!
デカい主フロートも無理なひねりや曲げも無くうまくプランク成功。パテ仕上げして滑らかな曲面を再現!
バルサでもコレだけの曲面が表現できるのだ!もっともスチロール・コアがあっての話だけど・・・
翼端フロートは2mmカーボン・パイプを主翼のシリコン・チューブに突き刺す。単フロートだから
翼端フロートの高さは重要、喫水線にあわせ上下調整可能。
完成機体ではコレにテグスの張り線をしてシッカリ位置決め固定する。

思いのほかスムーズに完成した。外観もスケール感バッチリ、見事九五水偵らしくなりましたゾ!

まだまだあるぞ! ダミーエンジンにオマケ・パーツ、迷彩カバーリング・・・
いよいよ次なる難関はカウル。前後絞られているから型でスポンとは抜けない。分割組み立て型を作らなければならない。 しかし寿2型なら同じエンジンで同じような格好のカウルが付いてる飛行機があったよねぇ。
そう九六艦戦!それに使えるなら苦労も・・・でも1/12の九六艦戦なんていつ作るんダァ???
九三中練では狭いタウネンドリングだから後方の絞りは省略してなんとか様になったけど、
この九五水偵は完全に深いカウリング。ここはなんとしても避けて通れない。
そこで苦肉の5分割モールドに。ベニヤ積層の塊で外形を仕上げ、電ノコで細切れに。
刃の厚み分と面出し修正分をバルサを貼って組み立て、仮接着して再度外周サンディング仕上げ。
案ずるより生むが安し?意外とすんなりモールドが組みあがった。あとはいつものヒート・シュリンク。
2リットルコークボトルで直径10センチがマキシマム。スケール寸では105mmなんだけど。。。
後を切り取って中央の貼り合わせ目にカッターを入れ、真ん中のブロックを叩き抜く。中央上下を抜き取ればあとはバラバラとモールドが分解して取り出せる。
長さをあわせて裾を切り取ったカウルに、エンジンを斜めにして差し込めるギリギリまで外周を削って調整。
小ビス3ヶ所でカウルにエンジンを固定。エンジンを機体に2mm長タッピングで取り付ける。
ビッグ・サイズゆえダミーとはいえ”鑑賞に堪える”「寿2型改2」(九五式水偵察2型E8N2のつもり)を!
(レレレ 写真撮ったら気がついた! マグネトーの場所違ってらぁ テッペンに付け変えなきゃ!)
深いカウリングだからエンジン後部の集合排気管は見えないので省略、突き出した排気管先端だけで。
前端の導風板はモーターの頭が出っ張るから省略してその代わり高圧電線配管をつけました。
やっとこ機体組み立て完了。フロートの曲面が夕日に映えて美しい!<<<自画自賛>>>
 さてさて迷彩のカバーリングもまた一苦労だぞ。あと一息だ!

                ページトップへ戻る

Return to Building Daily INDEX 工房日誌 インデックスへ戻る