工房日誌 製作ダイアリー
日本陸軍 九一式戦闘機 1/12 

2010年 8月 特注依頼を受け 長年温めた「のらくろの戦闘機」=九一式戦闘機 にチャレンジ!
国産戦闘機初の全金属モノコック○胴体 といっても外板は縦通材にそわせた、細長い帯状の
張り合わせ。断面は完全な○ではない。そこでカバーリング時の外観を考え、ノーズの金属板部分のみプランクとして全体は縦通材の鳥かご構造に。
となると、狂いのない正確な丸胴体を組むために、上下分割工作貼り合せ式で。
例によって平板に中央Lアングルを外形線にあわせ瞬間点付けし、機体上半分を組み立ててしまう。
防火壁から支柱部分まで(バッテッリー収納場所)
2mmベニヤの中央補強板を入れ、ノーズの
外形線は完全に決まる。
○胴体の背中に盛り上がった操縦席部分を
そっくりハッチにしてかぶせる。
機銃ラインの切り欠きがそのままノーズ部分の縦通材となる。
いざハッチを作ってみると、胴体に被さる部分が薄いバルサ1枚では持たない。
そこで操縦席周りは1mmバルサ張り合わせで。 更に厄介なのが翼支柱!
後部支柱がカバー部分に立っているからハッチをかぶせるわけにはいかないのだ。
そこで支柱の後ろで切り欠き段付きに。
当然この段階で尾翼差し込みのスリットも作り、水平板も製作。フィレット上半分だけ作りつける。
水平尾翼は5mm厚バルサで作りサンディング削りだしで翼型断面に整形。
特に難しい工作ではないのだが、なぜか今まで全て尾翼は平板で作っていた。後縁を薄くシャープにすると操縦特性がシビアになる。練習機並みに飛ばしやすく・・・というのがその理由。でも今回は肝いりの九一戦だけにスケール重視で。。。
テール・コーンは垂直板と一体にして後ろからはめ込むことに。従って昇降舵はコの字型ワイヤで
結合の左右分割式に。
主翼支柱は4mmアルミパイプ、上部の
切り欠きから中央の骨格ベニヤへ貫通。
カバーリング完成、仮組み段階で完全位置決め
シッカリ接着固定する。

ハッチはこの支柱の間に後ろから入り込むことに。
これで上半分は完成、同じ平板の外形線上で下側半分を工作
脚はオレオ部分をメインの脚注にして、毎度のとおり
胴体の2mmベニヤサンドイッチに差し込み、
固定板を下から差し込んで接着固定する。
左右分割で中央部分をL型に曲げ、ひねりトルクを
ここで支える。
胴体上下を接着、中央Lアングル接着部分は強度十分なので、多少の段付きもサンディングで
滑らかな外形線に仕上げられる。尾翼フィレット下側も組み付け、尾翼の組み立てにかかる。
垂直尾翼の後ろにラダー連動の橇を入れ、その後ろにテールコーンを接着。
垂直板と一体のテールコーンの前側は、水平板の溝にはまるデッパリがあり、垂直板をスリットに
差込とコーンも胴体尾部にはまり完全に胴体と一体化する。
完成機組み立て接着段階で、橇のピアノ線に接着剤が付かないよう注意!
胴体基本骨格完成、まだまだ細部の儀装が次々と・・・
いよいよ中島ジュピターの製作に 普通の空冷星型とはちょっと違うぞ!
鳥かご胴体前部に2mmベニヤの防火壁を接着、その前に5mmバルサの桶を貼ってノーズを成形
星型9気筒の骨を2mmベニヤで切り出し、前後に5mmの肉をつける。その気筒の付け根が
ピッタリはまるように胴体前に溝をつける。これだけでエンジンは完全に位置決めされる。
いつものとおり 灼熱ガスレンジの前に座り込んで、焼入れカッターでシリンダーフィンの切り込み。
1枚1枚切り込むのだからまるで「誉」の試作エンジンみたいな大仕事。ダミーエンジン毎度の苦労。。。
おまけに今度のジュピターは4バルブだから排気管が2本角のように生えているのだ!
これも特技のシュリンクチューブ曲げ加工で18本!
さらに前部導風カバーをバルサの樽とスクラッチで・・・
タウネンド・リングは1.5mmバルサの「3重曲げワッパ」 後部のY型吸気管もバルサスクラッチで
トドメが3本のプッシュロッド、2mmと1mmカーボンロッドの切り刻み。
ヘッドの上のロッカーアームまではとても手が付けられません。この部分のみ省略。
出来上がったらその上に導風カバーを接着。これにて一件落着、ジュピターの完成です。
しかしいかに固定式空冷星型エンジンの草創期とはいえ、なんでブリストルってのはこうも凝り性なんだろうか!やっと回転ロータリーの原始的なエンジンから進化したばかりなのに、いきなりOHVで4バルブ! 直列やOHCならまだしも星型で。。。ロッカーアームの構造は未だに訳がわからない。
フェッデンの「セントーラス」スリーブ・バルブといい、後のR&R「ペガサス」といい、どうしてこうも奇妙奇天烈なものに固執するのか!? その辺が20世紀英国航空工業凋落の源だろう。
のっけからこんなエンジンに手を出した中島の技術者も苦労しただろうなぁ。
当然の選択としてその後は名前だけジュ(寿)でもライト「サイクロン」だもんねぇ。。。
DB601を押し付けられた川崎、愛知も似たような苦渋をなめたんだろうなぁ。
しかしコピーすらろくに出来ない身の程知らずな高望みでも、やがてはそれを克服、凌駕してしまう日本人ってのはやっぱりスゴイぞ。
おっとまだまだ終わりではありません。
独特なスピンナーと後部の整流カバーが・・・
スピンナーはバルサ積層、ドリル旋盤の削りだし。
前半にシリコンチューブを埋め込んで、長いシャフトに差し込むだけでOK!
もっとも裏側の削りこみには手こずったが。。。
今回使用した新型チャイナモーターは実にGoo!以前のヤカンBLの改良新型2210のようで、
3mmのネジ切りしたシャフトが長く前に突き出ている。これでスピンナーの問題が一気に解決。
ホントはヤカンBLも考慮しながらいつものSHOPへ出かけて、偶然新入荷のこのモーターに出会った。
まさに幸運、神のお引き合わせかと狂喜した。まるで「誉」を見た海軍さんのように。。。
主翼は一枚、しかも上半角も後退角もないシンプルそのもの。
しいて厄介といえば中央の連結部分のくびれ。翼型は対象ではなくフラットボトムで、くびれは上側のみ。
スパーは実機とは別で一般的な30%にメインスパー、リヤステーのつく後部にサブスパーさらに
エルロンの前にもう1本。 エルロンはオキマリのハッチ式でマイクロ2サーボ。
斜め支柱は2mmカーボンパイプにバルササンドイッチ、シュリンクカバー。翼取り付け部は
コの字にした1mmピアノ線とPET包みビス止め。 胴体付け根は従来の複葉機翼間支柱同様
カーボンパイプに埋め込んだ針金を、胴体のベニヤのピボットに差し込み折り曲げで。
お尻も綺麗 アンヨも綺麗
主脚は
オレオをかぶせたメインギヤ(2.2mmワイヤ)。
付け根をカーボン糸巻き接着した後ろ斜め支柱
(1.2mmワイヤ)。
前支柱は輪ゴム通しのダミー (これが
着陸時のダンパー効果があるかどうかは???)
根元は涙敵型カバーからでっぱったJ型フックに
?型針金で引き出した輪ゴムの先を引っ掛ける。
8月が終わり やっと機体生地完成 というところで とんでもない伏兵が・・・
プラン上で見落とした伏兵、機体を組み立てたら胴体と主翼の間隔がせまく、風防、照準器をつけた
ハッチが、後部胴体の丸みをクリヤできず、開けられない! 無論閉めることも出来ない。
大慌てで胴体操縦席後ろの同枠を斜めに削り取り。閉めたら見えないカバーの内側だから、
胴枠が○である必要はない。これでスンナリ解決、開け閉めも簡単に出来るようになった。
9月2日 意外なほど短時間で出来上がってしまった。 のめり込んだらとまらない熱中性・・・
熱帯のバンコクでも熱中症ではありません! ソンクランの猛暑より暑い日本、そんな中で日常と同じ生活リズムじゃ
だれだってバテてしまうのは当然。 にわか円高の今がチャンス!ずっと快適な熱帯のバンコクへ避暑にいらっしゃいナ
こだわるだけこだわって、出来る限りのオマケをつけたけど、生地完成機体重量は336g
予想目標重量が300gだったから一割強の増加にとどまった。これは間違いない「軽戦」になるぞ!

 === やっぱ のらくろ の戦闘機じゃん!!!
   ン? どっから出て来た???
出来上がってもまだ不安が 結局翼ステーは作り変え
根元の針金折り曲げ式で問題が。上側でも下側でもいずれも差し込む時にフィルムにつっとってしまいそう。もともとゴム止め主翼のフェールセーフに考え出した方法だから、このクラスのスケール機にはちょっとお粗末。
胴体付け根を作り直し。
3mmベニヤの足を埋め込みビス止め式に。
ステー先端にはPET厚板を埋め込んでカーボンピンを刺して接着、さらにその上をシュリンク補強。
幅広の被子チューブの片側だけ収縮させ、支柱に通しておき、付け根をビス止めしたあと、
根元へずらしてピボット部分をスッポリとカバーする。これで完璧。外観も実機そっくりに
いよいよ佳境のカバーリング。全面グレーの標準仕様じゃ今ひとつつまらない。
じゃ胴体日の丸つきなら「愛国」はどうする? 「??号」にしようか?
「愛国号」の献納者リストでは 43は九二式戦で「朝鮮」(朝鮮官民)号なんだけど
私のニックネームNo.43(タイ語でもSiSam)で「盤谷」号とでもしちゃおうか。。。

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